2週間でイラストレーターの技術を習得する

 

 

イラストレーターのWEB制作における立ち位置

Figmaがサイト全体の構造やUIデザインのメインツールとして使われる場合、イラストレーターは以下のような場面で活躍します。

ベクター素材制作の専門ツール

イラストレーターはベクター形式でデザインを作成するため、解像度に依存せず高品質なグラフィックを作ることができます。この特性により、以下のような素材制作に適しています。

  • ロゴ:クライアントブランドの核となるロゴデザインやマーク。
  • アイコン:Webサイト内で使用されるオリジナルアイコン。
  • イラスト:Figmaでは再現しにくい複雑なイラストや背景デザイン。キャラクター作成

印刷物の作成

Web制作と直接的に関わるものではないですが、日本においてはIllustratorは印刷物を作る標準ツールの立ち位置にあります。(雑誌制作ではinDesignを用いる)
Photoshopで写真加工/合成、Illustratorでアイコンやイラストを作成。
それらを最終的にレイアウトするツールがIllustratorです。

解像度に依存しないベクター形式

イラストレーターはベクター形式でデータを扱うため、解像度に依存しません。

高いデザイン精度と細かな調整

イラストレーターは、パスの操作やアンカーポイントの調整など、細かいデザインの制御が可能です。この精度の高さにより、ロゴデザインやタイポグラフィ、イラストなど、印刷物で重要な要素を細部まで作り込むことができます。

カラーマネジメントの対応

印刷物では、画面上の色と実際に印刷される色の一致が重要です。イラストレーターは、CMYKカラーモードやスポットカラーに対応しており、印刷時の色の再現性を高めます。また、プリンターごとの特色や制約を考慮しながら作業を進めることができ、印刷物で求められる高い品質を実現します。

多様なファイル形式のサポート

印刷業界ではPDF形式が標準的に使用されますが、イラストレーターはPDF形式への書き出し機能が充実しており、フォント埋め込みやトンボ(裁ち落とし線)の設定が簡単に行えます。これにより、印刷会社とのスムーズなやり取りが可能です。

再利用性と拡張性

作成したデザインは、簡単に他の印刷物やデジタル媒体に流用できます。また、テンプレートを活用してシリーズ物のデザイン(例:複数のポスターやパンフレット)を一貫したスタイルで効率的に制作することも可能です。

複雑なデザインの表現力

イラストレーターは、グラデーション、パターン、エフェクトなど、多彩なデザイン要素を自由に作り込むことができます。これにより、デザインの幅が広がり、魅力的で洗練された印刷物を制作できます。

Figmaとの連携

FigmaはWEBサイトのデザインやプロトタイピングに優れていますが、イラストや高度な図形編集は得意ではありません。そのため、イラストレーターで作成した素材をFigmaに取り込むことで、デザインに深みを加えることが可能です。

  • SVG形式で書き出して、Figmaに直接インポート。
  • レスポンシブデザインに合わせて素材を調整しやすい。

実務での役割分担

イラストレーターの役割

  • 細かいグラフィック作成:Webサイト全体で使用するアートやパーツを作成。
  • 独自性のあるデザインの提供:クライアントの要望に基づいたユニークな素材の制作。
  • 印刷物との統一感:パンフレットや名刺など、Web以外の印刷物との連動デザイン。

Figmaの役割

  • プロトタイピング:Webサイト全体のデザインフローやUI/UXの設計。
  • チーム共有:デザインの共有や共同編集。
  • 開発者向けハンドオフ:コードに必要なCSSや寸法の共有。

具体的な活用例

  1. ロゴやバナー制作
    イラストレーターで作成した高解像度のロゴやカスタムバナーを、Figmaに配置してデザイン全体の一貫性を保つ。
  2. SVGアイコンの作成
    小さなアイコンをSVG形式で書き出し、Figmaや直接コードに組み込むことで効率化。
  3. イラストや背景の作成
    ヒーローセクション用のイラストや複雑な図形を作成し、Figmaのレイアウト内に配置。
  4. Webサイトに関連する印刷物の作成
    名刺やチラシなどをWeb制作の付属物として作成する必要があることが多い。

役割まとめ

FigmaがWebデザイン全体の流れをコントロールするツールである一方、イラストレーターは独自性を持ったグラフィックを制作し、Webサイトを一段と魅力的にするための補助ツールとして不可欠な役割を担います。この2つを適切に役割分担することで、効率的で美しいWeb制作が実現できます。

 

授業全体の目標

  • 実務で役立つイラストレーターの基本操作を習得する。
  • WEBデザインに必要な素材制作(ロゴ、アイコン、バナーなど)を実践的に学ぶ。
  • 最終日には受講生がオリジナルのデザイン作品を完成させる。

学習フロー

基礎習得(1週目)

ツールの基本理解

ユーザーインターフェイス、ツールバー、アートボードの説明、ファイル形式(.ai, .svg, .png, .pdf)の理解。

基本操作

選択ツールやペンツール、シェイプ作成、パスの調整、グラデーションやカラー設定。

レイヤーとアートボード

レイヤー管理(ロック、非表示、グループ化)、アートボードの設定と活用。

タイポグラフィ

テキストツール、フォント選定、文字のアウトライン化。

色とスタイル

カラーパレット作成、スウォッチ、パターンの作成。

応用とアウトプット(2週目)

実務に近い素材作成

ロゴやアイコンの制作、再利用可能なデザインの作り方。

エフェクトの応用

ドロップシャドウやぼかし、透明度設定、ブレンドツールの使い方。

画像の配置とトレース

ラスタライズ画像のライブトレース、画像埋め込みとリンクの違い。

実践課題

指定テーマでのバナー制作を行い、個別フィードバックを実施。

最終成果物の制作

自由課題制作を行い、これまで学んだ技術を統合したデザインを完成させる。

補足アクティビティ

実例紹介

有名なWEBサイトやロゴを分解して再現するミニ課題。

クイズ形式の復習

ツールやショートカットキーを使った即答練習。

グループフィードバック

制作した作品を共有し、相互評価を行う。

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